Category官能小説 1/1
官能小説|雪の幻 Sec.5 潤んだ瞳
Sec.5 潤んだ瞳それからまた1週間ほどしたある日。松田から電話があり、会社の近くに来たので今日またお食事でも、という誘いがあった。午後に長引きそうな会議があったが、二つ返事で受けた。予想通り会議は長引いたが、雪菜は明日の自分にすべてを任せて、定時に会社を出た。指定された丸の内のバーに入ると、一人夜景の見えるカウンターで松田が待っていた。背景が輝き、松田の美しさが際立っているように感じた。声をかけると...
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官能小説|雪の幻 Sec.4 何かが始まるとき
Sec.4 何かが始まるとき松田との約束の日。仕事での約束とはいえ、会えると思うと、雪菜は喜びと緊張を感じずにはいられなかった。まるで小娘のようだ、と苦笑いをかみしめながら、会場となる駅ビルの地下に向かう。地下とはいえ、冷たい風が外から入ってきて、雪菜は思わずコートの襟を立てた。今回のイベントは、駅ビルの地下スペースでブースを作り、広告でジャックすることになっている。たくさんのOLが通る場所だけに、女性を...
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官能小説|雪の幻 Sec.3 恋の入口
Sec.3 恋の入口それから数日、松田とはメールでやり取りをした。彼と話がしたいという気持ちはまだ続いていたが、わざわざ意味もなく電話をするほど雪菜は焦っていなかった。年齢を重ねていることもあるのか、この恋の入口は雪菜自身が不思議に思うほど、実に落ち着いているのだった。だが1週間後の夜、松田からの電話が鳴ったときはさすがに一瞬どきりとした。部下の取り次ぎに平静を装い、電話を受けた。「お電話替わりました、...
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官能小説|雪の幻 Sec.2忘れられない恋
Sec.2 忘れられない恋雪菜は久しく恋愛からは遠ざかっていた。単純にこれといった出会いがなかっただけなのだが、それなりに何度か求婚されたこともあった。だが、そもそも結婚自体に興味がなかったことと、相手に何かしっくりこない違和感を感じていた。それは価値観だったり食の趣味だったり、セックスだったり様々だったが、最終的にどうしても心に拭いきれない想いがあったのだ。―― 橋本将俊の存在。25歳のときに出会った男で...
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官能小説|雪の幻 Sec.1悲しみの瞳
雪の幻Sec.1 悲しみの瞳その男は、いつも目の奥に悲しみをたたえていた。例えるなら、群れに入れずに孤独に耐えようとする雄ライオンのそれと似ていた。諦めと憂いを併せ持ち、それでいてプライドは捨てきれず、幾許かの威嚇を含んでいる。井上雪菜は、会うたびにその男の瞳に目を奪われていた…。雪菜が初めて松田に会ったのは、小春日和の日だった。2月だというのに春めいていて、日差しが暖かい。雪菜はイベント会社で企画営業...
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